テキスタイル / 2026-09-01
石油が安くなると、リサイクル素材は不利になるらしい。それでもKYKLOSを続ける理由
循環経済関連の市場調査レポートに目を通していたら、面白い(というか、身につまされる)指摘があった。2026年のプラスチックリサイクル業界の課題として、「石油価格が下がると、再生材のコスト競争力が下がる」というのがある。
正直、これはウチのKYKLOSセンターでも計算済み、腹に入れた状態。バージンのPVCが安く仕入れられる時期は、正直、再生塩ビをわざわざ選ぶ理由が価格面では薄くなる。カーボンタックスとかリサイクル賦課金みたいな政策的な後押しがないと、経済合理性だけでは循環はなかなか回らない、というのは業界の本音だ。
それでも、6~7年前にパートナー工場で再生塩ビを初めて見た時のことを、今でも覚えている。「これ、ちゃんと使えるじゃないか」という単純な驚きから始まって、気づけば投入口の粉砕ローラーまで独自に改良する羽目になった(この話は前にも書いた気がする)。 これは、国産マテリアルだ! と瞬時に臭いをかぎ取ったのを鮮明に覚えている。 このコンパウンドには、難燃剤や可塑剤、安定剤、PVC樹脂と必要な材料が入っているから、事実上国産材料なのだ。
レポートには、もう一つ「ブランドオーナーがリサイクル業者と直接投資したり、長期契約を結ぶ垂直統合」が2026年のトレンドだと書いてあった。これは正直、ウチが最初からやっていたこと。中間業者を挟まず、自社で再生処理まで持つ。効率が悪そうに見えて、実は一番早い。 大変な事業である反面、マテリアルが国産化すれば為替の影響もないし、無限の資源だ。 他のプラスチックの様な短期用途ではない。 塩ビパイプの様に、コンクリや金属管よりも高耐久で、生活の安心安全を担保する樹脂だ。
地域単位で自治体・企業・住民が資源供給システムとして連携する「地域循環モデル」も挙げられていた。名古屋の小さな会社が世界を変えるとは思わないが、地元のパートナー工場との関係は、まさにこの縮小版だと思う。
市場規模の予測(循環型家具・インテリア市場が2026年に46億ドル、2034年には75億ドルまで拡大するらしい)を見ても、正直ピンとは来ない。数字より、目の前の塩ビが生まれ変わっていく現場のほうが、ずっと実感がある。石油が安くても高くても、KYKLOSは続ける。これは経済合理性というより、6~7年前に感じた「もったいない」だけでなく「夢のマテリアルの国産化事業」という気持ちの延長線上にあるからだ。 これに夢がないという無知がいるならば、PVCと日本の状況をあまりにも理解していないだけだ。