
シンコールブランドの椅子張り テキスタイルの中で、長い歴史を持つ ”パレット”。
元々は、アクリル繊維からポリエステルに変わる時代に合わせて開発した織物でした。
私は毛織物の産地である尾州地区に住んでいますが、アクリルはウール(毛)の代用の化繊(化学繊維)として発達し、この地でも多く使われ発展してきました。 アクリルは、粗全部がウールと同じく短繊維です。 バルキー性といって、嵩高(ボリューム)で、発色が良いのが特徴です。 昔は、糸と言えば商標を聞いて、独特の加工条件や特徴を覚えていたものです。 一部ですが、生き残っているといえば、元々代表的なものである、旭化成のカシミロン、東レのトレロン、三菱のボンネル、日本エクスラン工業のエクスラン、東邦テナックスのベスロン、区分けは違いますが、カネカのアクリル系難燃糸のカネカロン。
アクリルは、紡績、撚糸でワタを糸に仕上げる工程があり、毛織物の技術が使えるので歴史的にも古く、意匠糸に多くの工夫ができ、小さな変化を起こして様々な表情を作れたものです。
繊維の歴史が判りやすく書かれたリンクを貼っておきます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber/59/4/59_4_P_121/_pdf/-char/ja
昔といっても、たった30年前ですが、毎週土日に、このような素晴らしい文献を探してコピーするのに、愛知県の県図書に通い、コピー代に万単位を注ぎ込んだものです。 また、現場に行っては、それらで学んだことを現場で聞いて、身に着けたものでした。
今は、それらの一部がネットで見られたり、電子図書として見られたり、図書館の横断検索で目的の書物が何処にあるか判る便利な時代。 便利になるほど、勉強する人が少なく寂しいものです。 糸ヘンの仕事は面白いばかり、勿体ないの限りです。
旧パレットは、アクリルが次第に無くなっていく明確な繊維業界の流れを受けて、ポリエステル化。 ポリエステルの発色が悪く、全面無地だと安っぽく見えてしまいます。 そこで、白い糸で織ってから、後から染める 反染め方法を採用して安価にしたのが始まりです。 それだけ平織の多色商品の需要があり、売上を見込んで作られた商品でした。
安価でもあり、”完全に無地”の”細番手の織物”として人気がありましたが、世界は、ミックス調の色の長い長い時代に突入。 ポリエステルの安っぽさを少し隠すことができる。 ポリエステルでも、糸染めだと反染め以下の安価に作れません。 ポリエステルは 分散染料で染めるのですが、アクリルと同じく、カチオンで染まる特殊なポリエステルのカチオン可繊糸を混ぜて、染めずに白い状態で製織してしまいます。 その後で、高圧で反染め。 カチオン染料部分または分散染料部分の染まる違いで、ミックスに染めて、ミックス調にみえるように工夫したものです。 衣料や鞄でも、安価なものではこの方法をとった物が多いので、見た目が良くても織物のプロが見たら、安いか高いか位は見破ることができます。 日本の高度な椅子が、海外の家具展で、こうした生地で張って、プロから失笑されているのを聞くと残念です。 海外の椅子はモット張地にお金をかけていますからね。 日本の自動車の内装と会社の内装の豪華さは今もって大きな差。 人生で結構な時間を過ごす車内。 どこにお金を掛けるか、よくわかっていますよね。 同じ発想だと思います。 私は、ブログを通して、座っている時間をもっと ゆたか に過ごして欲しいというメッセージを出すのが目的の一つ。 もっと変わって欲しい、考えて欲しいといい続けています。
ロビーや業務用椅子で根強かった需要に陰りがでて、パレットは廃番となりました。 細番手で時代の流行に左右されにくい商品づくりをテーマに、その後も30年使える定番としての商品づくりを繰り返してきて、漸く、パレットを名乗れる商品づくりができました。 プラスした価値感として、アンド パレット (&Pallette)が商品名の由来です。
アンドパレットは、値上の多かったポリエステル100%ながら、上代は、3400円と努力を重ねました。 糸が細いため、見た目以上にランダムに色が出るように細工していますので、よりミックス感が強く感じて貰えると思います。 フルテクトTMのSEK抗ウィルス加工ラベルがとれる商品でもあります。 加工賃が別途必要となりますが、業務の負担が減る、消毒時間に割く必要がないなど、オペレーションコストでトータルコストが下がり、直ぐに、投資した分が戻るはずですので、加工をプラスする方もご検討いただきたい商品です。
18色、選べる廃色で用意しているのでご用命ください。 コスパ抜群のアイテムです。
https://www.sincol-group.jp/digitalcatalog/textile2023-2/#page26
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