Sincol 椅子張り イザヨイの紹介

テキスタイル

別名 hesitation ためらい

いざよい 判る人も段々居なくなる、寂しさを感じますが、そう、古今和歌集の四季を感じさせる和歌です。 残念ながら、作者不明(よみひとしらず)で、これも私たちの様な工業デザインに携わるものの宿命と言いましょうか、似ているところにも共感を感じるものです。 

日本一販売量が多いレザーの作者が、しがない人などと、誰も想像もつかないでしょうし、名前を知られると、商品の価値が作者の姿容に置き換えられてしまう世の中。 作品のすばらしさと、作者の日頃は別物です。 作品の出来が良ければ、名前を知られるよりも遥かに満足だ、というのが本音です。

十六夜(いざよい)
君や来む われや行かむの いさよひに
真木の板戸も ささず寝にけり

君が来るかな、私が行こうかな、そうためらっている間に、サッシをしめずに、うたうたと眠ってしまったよ

訳せば、恋焦がれる想いが伝わってくる十六夜の風景です。 十六夜(いざよい)が ためらう Hesitation という意味であること自体、自然に美しい。 思い出の奥にあったノートの端っこを見ただけで、あの時の思いが湧き出てきて、感情が動くような、とても良い和歌です。

イザヨイのデザインは、アイデアを企画部のデザイン課長が持ち込んで来て、やってみたいというので許可したものです。 デザインは、普通、タテからシタに作られたデザイナー都合のものが99.9%以上で、椅子には可也のデザインアレンジが必要です。 確実に言えるのは、デザイン修正を一発で決めるには、経験値以上に、相当な想像力を要します。 色合いは、モダンなカラフルのアイデアを提示されましたが、今時ではありますが、着物が映える色、そして、親族の集まりや仕事の会合のフォーマルな椅子で、主役を人に、映え過ぎない主張しすぎない色に変更するように指示し、商品化してあります。

今回は、同じ柄を位置をずらして重ね、片方を本柄、片方をシャドーにして、そのシャドー側をメイン柄に入れ替えるテクニックを使って、どの方向からでも違和感がない仕掛けがしてあります。 糸は、業務用に一日でも長く使えるように、耐久性、強度面を考えて、緻密に打ち込んでいます。 結果的に、柄のまとまりが綺麗に仕上がりました。

和に見えますが、インバウンドでいうところの、”和を感じさせる” 様、本革を椅子の外周に、座る面と寄りかかる面に、イザヨイという組み合わせも良いでしょう。 レザーのスベランネやゼンゼンスベランネと組合せて、スベラナイ座布団をつくるのも良いと思います。





イザヨイのA3のプレゼンバージョンのデジタルカタログは此方へ
https://www.sincol-group.jp/digitalcatalog/textile2023-2/#page196

イザヨイのB5のサンプルバーションのデジタルカタログは此方へ
https://www.sincol-group.jp/digitalcatalog/textile2023-3/#page554


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