テキスタイル・レザー(家具資材) / 2026-09-17
秋の張地選びで、いつも迷う色の話

9月も半ばを過ぎると、椅子張り業界では秋冬向けの色提案が本格的に動き出す。毎年この時期、いや、それは嘘過ぎるか。 毎年、春には、サンプル帳をめくりながら秋冬の色で同じことで迷う。「秋らしい色」とは何か、という話だ。 有料で、世界に合わせてバーガンディやグリーンなどを提案してきたが、日本はおしゃれ過ぎるのは売れ筋に入らないジレンマが長くあった。 単純に、デフレ経済だった影響と結論しているが、海外投資家の関わる物件がホームマーケット市場より大きくなっている実態からすれば、我々の情報発信先が、何処のマーケットを見ているかで、評価が分かれるのだろう。 何故、国内ホームマーケットの方が小さいのか単純。 20ドル前後(3000円)の織物を1m5万円で良いもんだと価格を認めて購入する、より高いものを好むコントラクトマーケットなのか、いつまでも1000円のものを1100円ですか?2000円のものを2300円ですか?が基準の国内ホームマーケット。
仕入値上しか転嫁していない価格で、他社製品に振られるマーケットで、歯を食いしばってやっていくのは、本来の姿じゃないと信じているが、誰もついてこないのが実態だ。
茶系、モスグリーン、深いボルドー。定番はもちろん外さない。ただ、ここ数年感じているのは、はっきりした季節色よりも、LED独特の光の当たり方で表情が変わるような、少し複雑なニュアンスカラーの方が長く選ばれる、ということだ。単色でパッと目を引く柄は、最初の商談では強いが、実際に空間に置かれた時に「飽きられにくい」のは、意外と地味目な色だったりする。 研究尽くしたので、私にはお手の物だが、ひと手間には二手間分のコストが掛かる。 会社のターゲットとする従来顧客と、私が家具マーケットを十倍のマーケットに変えたいと思う意思に合った良いものは価値ある価格で買う、売る、顧客と分けてモノづくりをしていく。
これはPVCレザーでも織物でも同じ傾向がある。KYKLOSで再生素材を扱うようになってから、色の作り方そのものも少し変わった。染料由来の色ではなく、素材そのものが持つ色を活かす方向に寄せることが増えている。エコだから、という理由だけでなく、その方が結果的に「飽きの来ない秋色」になりやすい、というのが現場の実感だ。
サンプル帳作りは地味な作業だが、こういう小さな発見が積み重なって、次の商品企画につながっていく。 数年仕込んで来たアイデアの試作も纏まり、設備投資もした。 これからが価値あるものの本番になる。