
プレスターは、シンコール・テキスタイルの ”スター” シリーズの後継の位置づけで開発しました。 スターシリーズの特徴は、多色で選べるスタンダード品、多くの用途に対応できる強い物性で多くのファンを作ってきました。
ボンスター、ニュースター、マイスター。 今となっては、それぞれが、時代と共に消え去った製法です。 ボンスターは、アクリル短繊維を使い、紡毛撚糸をつかった紡毛織物。 尾州地区の得意とする代表的織物ですが、社会全体の需要が少なくなり、椅子用の撚糸が難しくなり廃番。 確か、ボンスターの撚糸工場が、火災にあい、再建できずに商品の変更を迫られたと記憶しています。
ニュースターは、ボンスターの後継、ポリエステルの短繊維(と言っても、15㎝くらい長い特殊なもの)を使った、梳毛ライクな織物。 ポリエステル化をせざる得ない時代で、アクリルのワタからの紡績から、長繊維の撚りとなり、味が180度変わってしまいます。 そこで、空紡という粗々しく仕上がる紡績を採用。 空紡OE糸オープンエンド糸とも呼ばれます。 外側の糸を強く撚糸し、内側は殆ど撚糸をしないために、やや太く感じるでしょう。 糸のついたハムのように、肉部分が毛羽のような感じでとび出ている感じというのでしょうか、ハムとの違いは、ハム部分が沢山の繊維で、外側の繊維が全面に近くきっちりくるんでいる点です。 中側の撚糸をしない分、糸に膨らみができます。 市場に出してからの問題は、ピリングが出やすかったこと。 試験値の想定以上に、ジーンズの摩擦などで発生。 そこで、仕上げの段階で、無駄毛を焼き切って、ピリングの発生源を減らしたのですが、コスト高となりました。 ニュースターは前任者の企画品です。
マイスターは、ニュースターを引き継いだ梳毛ライクな織物。 空紡という紡績から、リング紡に変更して織りあげています。 リング紡は、内側も外側も均一に撚糸されるので、毛羽もない、かっちりした印象になります。 ニュースターの折角の空紡も、ピリング防止で焼きてしまっては、ふんわり感が無くなり、硬くなってツルツル。 それなら、リング紡でも変わらないということで、一般的な紡績方法に変えたわけです。 一方、以前の様な単純平織の需要が減り、市場はより複雑に変化し、新たなスターシリーズの確立は難しさを極めていました。
P31のクリーナは、見た目のボリューム感は、初代スターであるボンスターを意識して開発したのは事実ですが、次亜塩素酸(漂白剤)での消毒対応品であり、漂白剤で色が抜けてしまう商品は採用できませんでした。 したがって、多色にする限界があり、スターシリーズの位置づけにしていません。
プレスターの物性データを見て貰えばわかりますが、面がまえよりも、物性重視で設計をしています。
殆どの用途に対し、物性の心配がないと言えます。 使ってもらえばわかる、手ごたえがあるファブリックです。 写真を参考にしてもらうと、品の良さもあることが判ると思います。 織組織が影をつくり、無地なのにミックスに見えるようにしており、単純無地に表情が加わっています。 150㎝という超横長な分、4500円上代と言えども、135㎝換算すれば10%も値打ちです。
今後多色展開できるか見極めよう、プレ販売という意味も含めて、プレスターという名称にしています。 糸と織の絶妙な凹凸により、単純な無地よりも、ややミックスした色合い。 多用途にするため、椅子張りでは大きい150㎝巾なのがポイントです。 ボックス椅子の背などで効率よく仕事ができる。 幅が広いので、実質の価格は、表示よりも低く収まります。 標準巾よりも、約9%お値打ちです。 裏のコーティングは、大きなボイラーが不要な環境にやさしい特殊な装置で仕上ています。 OEKO TEX TM の環境対応工場にて環境に配慮しながら製造しています。
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