シルエット Sincol 椅子張り紹介

テキスタイル


シルエットは、麻混の糸に見えますが、実は、オレフィンの糸くずや樹脂を再生した、再生オレフィンを使用しています。 オレフィンは、石油に近い成分で、余分な科学プロセスを経ていない単純なプラスチックです。 オレフィンとは、エチレンやポリプロピレンの総称ですので、ポリエチレンのビニール袋を想像してもらうと、大体近いと思います。 ポリプロピレンは、椅子の芯材など多く使われているので、椅子業界の人にはポリプロピレンと伝えた方が判りやすいでしょうか。

オレフィンの特徴は、比重が0.91、水より軽く水に浮くこと。 勿論、繊維にしたら、間に水が入って沈むことは想像に難くありませんが、最近はそういう想像が出来ない人が、は?沈みますけど、と言ってくることもあり、説明が大変なケースも多くなっています。 読解力にケチはつけにくいですし、ポリプロはポリプロです、知らないのが悪い、勉強しなさいという時代だと言い切られる始末です。
そして、水をはじきやすく、コーティングが安定しにくい、染色できない(染色可なポリプロピレンもありますが、ポリプロピレンの世界需要にたいし流通ベースでは粗ないといっていい)。



私の生涯テーマであるオレフィン糸の開発において、再生オレフィンを使った織物としては初めての商品化です。 つまり、日本における椅子張りサンプル帳の歴史で、初めての素材となります。
ポリエチレンの想像の通り、テカリがあり、折り目が付く硬さ。 これらを消すのも大変な工夫が必要となります。 この職について、半年あまりで着眼して、研究を始め、何度も市場へ紹介しましたが、大ヒットには成りませんでした。 それでも、もう30年も実用化に向けて努力し続けているので、風合いや顔づくりはお手の物です。

今回のシルエットの顔づくりでは、こだわりの麻ライクを追求しています。 麻の欠点である弱さや形状維持の難しさを克服するには、化学繊維が適しているわけです。 これまで、他の化学繊維で麻を表現してきた中では、抜群の麻感が出ていると思います。 ホームライクなテキスタイルをオフィスなどの公共スペースに置く時代。 特に、オフィスに置く家具で活躍してくれそうです。 又、パーテーションなどにも最適ですね。 

オレフィンですので、無染色=染色することなく色を付けております。 染色に使う大量の水、その処理、さらに乾燥に膨大な熱がいるのですが、それらが不要となり、エネルギーが約半分、すなわちエネルギーに纏わるCO2も半減することになります。 


優秀のエコは、資源がリサイクルできる、少ないエネルギーで製造できるものだと考えています。 私自身が生涯テーマとして取り組んでいるオレフィンの研究開発は今も進んでおり、このほか、SINCOLの商品名でいえば、エイガ、ワイモード、アポナスタ、ペシペッシュ、シグネイチャー、パスタ、クリーナと展開しているだけでなく、他の繊維と混ぜることで、コストダウンも計っております。 振り返れば、私がオレフィンを椅子張りに使いたいと、開発に傾倒してから30年になります。 思った以上に時間とコストが掛かりましたが、次の繊維を後輩たちが見つけて、諦めずに研究を続け、市場で受けいられるように育てて行って欲しいと切に願っています。

B5判で見るウェブカタログのリンクを付けておきます。
https://www.sincol-group.jp/digitalcatalog/textile2023-3/#page126

コメント

タイトルとURLをコピーしました