環境対応の切り札 無染色織物 BizVa

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無染色織物 新ブランド BizVa シリーズ の兄弟分が、2023年発刊 Sincol 椅子張り 総合テキスタイル・サンプル帳にも掲載されました。 どちらも、私が繊維に携わり始めて直ぐに研究に取り掛かった素材ですから、どちらも、大きく育ってほしいですが、具体的に商品説明に行く前に、下記を読み物として用意しました。 家具業界の環境という視点で考えながら読んで頂けると、研究開発で会社に負担をかけてきた申し訳ない気もちと、それだけ私が拘ってきた商品づくり、今の展開がより深く理解できますし、皆さんの用途開発にも役立つと思います。 因みにBizVaブランドは、名古屋のシンコー株式会社のイズライフ事業部が、2023年のオルガテックTOKYO向けに、シリーズ化したもので、私から独り立ちを始めてくれた感慨深いブランドとなります。

織物で環境対応というと、結果的に、再生PETの一本背負い。 最近、引き合いに出てくる、分解する繊維は、どうでしょうか。 ポリ乳酸繊維による生分解性の糸をユニチカさんから提供されて、25年近く前に織物として国内の一流家具メーカーさん達に紹介さえて頂きましたが、家具業界から分解したら耐久家具にならないと総スカンの意見で売れませんでした。 今は、他所から、ポツンと出てくると、何でないんだ?とお客さんからもグループさんからも、社員からも言われることバカリですが、例えば、紙の繊維、和紙の繊維も既に20年以上、ステンレス繊維も30年近く前ですか、出せば誰も振り向かず、海外の一流メーカーから出てくると180度、意見が変わるようなことを繰り返しています。 そんなに日本の家具を世界に売り込みたいのであれば、我々が持っている新しいものを採用しなさいよ!というパートナー扱いであればよいですが、下請け的な位置扱いが99.9%。 資材屋の辛い所でもあります。 

再生ペットボトルを原材料に使った商品は沢山紹介させて頂いており、事実、PET100などは長い間のベストセラーでもあります。 しかし、本質的な環境にやさしいという話では、可也の無理があります。

実は、ペットボトル業界が、ペットボトルを作る時は、殆どがバージン樹脂を採用しており、再生PET使用率が低い。 技術面よりも、再生は回収して、再資源化するエネルギーを使う分、コストが高いのがメイン理由。 結果、二十年+も、他の産業へ再生PETを使わせる流れが作られてきた。 それが当事者としての実感です。 最近では、ペットボトル再生率が上がっていると宣伝ているようですが、我々が再生PETを始めた27‐8年前から、今日までのペットボトルの全流通量を分母にして、ペットボトルに再生された量を分子にした利用率%を出したら、もう悲惨極まりない環境悪な消費をしてきているか理解できると思います。 100%再生PETを使用していたら、バージンが入る余地がなく、本当のエコですが、そこまで到底たどり着く気のないPETボトル業界でしょう。 材料屋さんも全部が再生になったら生き残れませんし。 

シャツ1枚に、ペットボトルを材料にすると、3-4本と言われています。 シャツを着る回数から見たら、使い道はシャツじゃないよね、というのが、普通に理解できること。 これが考え方の肝です。

理解できるという目線ではなく、事実確認ですから、我々がいる産業で見てみましょう。
耐久資材である椅子やオフィスチェアー。 面積はシャツよりも遥かに少なく、普通に5年以上は使うわで、使い捨てのペットボトル消費と全く釣り合わないません。 自分が買ったペットボトルを自分が使う他のものでリサイクルすることを想像してもいい。 兎に角、あり得ないロジックです。 再生PETを使用すると環境にやさしいと主張するのが如何に滑稽で、罪づくりマーケティングであるか理解できると思います。 また、それを推し進めることを良しとする財団や管理団体が存在することに、政治と経済の密接な関係度合いをみることができます。

PVCレザーを作ると、樹脂をコネて引き延ばせば、大体レザーの容ができます。 比べると、テキスタイルのエネルギー使用は莫大ということに気が付きます。 テキスタイルといえば、樹脂を細いノズルから出して、固めて、束ねて糸にして、それを撚糸して、並べなおし、染色、並べ直し、織物や編物にして、撥水やバックコーティング加工などして、仕上。  この工程をどうにか省けば、環境にやさしいテキスタイルがつくれます。 我々は、椅子やソファの資材むけにテキスタイルを設計するので、唯、環境に優しければ良い訳では在りません。 数々の耐久性が求められるのです。

特にエネルギーを多く使う染色工程を省ければ、CO2排出量は半分になるのは想像しやすいなかで、耐久性を上げることのできる染色不要の繊維はないか、それが、オレフィン系の樹脂だったわけです。 これが大変な開発でした。 水をはじくので加工性が悪い、融点が低く、高速製造の摩擦でも溶けてしまう。 加工温度が普通の繊維よりも低く、一緒に加工できないなど、製造上の問題も多く抱えての研究スタートでした。 最初のチャンスでは、アメリカの巨大石油企業に乗り込んで、オリジナルの糸を製造してもらい、売れずに大失敗。 糸の置場で倉庫を借りて、売れるまで頑張りましたが、全損しました。 未だ20代だった頃なので、この大きな失敗はショックでもあり、挽回するぞと誓ったものの、額が額だけに、次の機会を静かに待つしかありませんでした。 その間に、色の定着をあげたり、資材線強化したり、工夫を重ね続けて、それから15年、やっとクリーナという商品で、無染色織物をベストセラーにすることが出来ました。 その後、更に工夫をし、細い糸、意匠糸などを増やし、ラインナップが出来る様な素地が整いました。

此れからも定番の素材としてオレフィンが当たり前になるように努力を重ねていきます。 染色工程がないので、水を使わない、河川に流す前の水の処理が要らない、乾燥がいらない、セットが要らないなど、エネルギーが半分しか使わないという、本物のエコ商品として、皆様には積極的に使って頂きたいと思います。 

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